(生まれてくる子は、男の子かな、、、)
一瞬、そう思った。
しっかりした根拠はない。
確たる証拠もない。
鈴木の前を通りすぎた
その妊婦さんの顔が、
一瞬男性に見えたから。
「鈴木さん、何かオカルトっぽいですね?
男性に見えたから、それだけで
生まれてくる子どもが
男の子なんて言うのは?」
「それが、そうでもないのですよ」
10月に入ったある夜のこと
鈴木が、道場の近くにある
西区スポーツセンター併設の
西区のプールに行った時のこと。
※鈴木は、月に何度かプールに行く。
目的は、泳ぐというより気晴らし。
要するに、ストレス発散のためである。
妊婦さんを見かけた。
今までも3、4度は見かけたと思う。
だが、妊婦さんだと
気づかなかったのは
水中にいる彼女しか見えなかったからだ。
だが、その時は、
プールサイドで見かけたから
お腹が大きくなっているのがわかったのだ。
道理で、、、
(水中ゴーグルはかけてないし
眉間に縦しわを作りながら
脇目も振らずに黙々と歩いているし、、、)
また、
(たぶん初めての子だろうな)
とも、思った。
歩く姿に人一倍の必死さを感じるから。
その顔を横目でちらちら見ながら
「正直、美しい」と思った。
追伸
4年後、彼女が、ママとなる。
おむつが取れた我が子(男の子)を連れて
プールで遊んでいる母子を
見てみたいなぁ~と思った。
きっと、彼女は、やさしい顔をしているだろう。
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