今、こんな話しをすると
「そんな時代があったのですか?」と、
言われそうだが、、、
こんな「大らかな時代」が確かにあったのです。
昭和58年(1983年)夜中の2時ごろ
(都内のコンビニ裏口)
友人と、息を潜めるように
あるコンビニの裏口の前にいた。
賞味期限が切れた
コンビニの弁当を「無料(ただ)」で
もらうためにである。
その1週間前のこと
大学の友人と、講座が始まる前の
教室の外でたばこを吸いながら
こんな話しをしていた。
「で、どうよ、、、」
「何が、、、」
「メシ食うお金ある?」
「ないねぇ~」
「ハラ、へったな~」
「・・・・・・」
「コンビニでアルバイトしている
友人がいるんだけど、、、
そいつが言うにはだよ
夜中の2時ごろ
お客さんがいなくなり始めたころから
賞味期限が切れた弁当を捨てるんだと」
「でも、それって食えるんだろう?」
「食える」
「もったいなぁ~食えるのに」
「そうだよなぁ~」
で、そんな話しをしてから
1週間後、、、
「おいっ、聞けよ!」
「何だよ、、、」
「前にも話したろう。
コンビニ弁当を捨てるって言う話し」
「あぁ~あれっ」
「友人に話したら、その捨てる弁当を
ただでくれるっていうんだ」
「ほんとかよ」
「ほんと」
「ただ、店から持っていくわけにはいかないから
取りに来てくれればいいって」
「行こう、行こう。。。」
2時すぎ、、、
コンビニの裏口のドアが開いた。
「これが捨てる弁当だ。
好きなもん、持っていきな、、、」
そこには、3種類の弁当があった。
まともに店で買えば、400円はする。
鈴木は、生姜焼き弁当を選んだ気がする。
うまかった、ことだけは覚えている。
レンジで「チン」した記憶はないから
冷たいまま食べたのだろう。
ここで小説なら、
「その時、夜空には
ちょっとさみしげなやせた
月がかかっていた。
なんだか妙に、悲しくなった」とか書くのだろうが、、、
そんなことはなかった。
だって、その弁当を食うことにだけ
集中していたから
その時のことなんて覚えてはいない。
まぁ~大らかな時代でした。
追伸
その頃は、新聞部にいて
400字のコラム原稿を毎日、書いていた。
作文力がないのだろう
書いても書いても先輩から「OK」がでない。
結局、毎晩、徹夜になる。
バイトもしていないから金もない。
食うものに困る。
でも、タバコだけは吸う、という。
デカダンな毎日だった。
今、これを書きながら
あの頃の心境を思い出そうとするが、、、
よくわからない。
だから、食品ロスと聞いて
こんな「おちゃめな時代」を思い出した。(涙)
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