その頃は、前職である
保険の代理店をしながら
整体を勉強していた時期に当たる。
週に4日、本部がある音羽に通っていた。
※池袋から有楽町線で護国寺駅下車
道路を挟んで講談社があった。
余談ながら、講談社はいつも
明かりが灯っていた。
(ご苦労さま)
すでに、井本整体に入門して
4年が経過していた。
同期の中には、
患者さんを診ていた者もいた。
鈴木は、ある個人的な理由で
診ていなかった。
もちろん道場を開いて
本格的に開業しているのではなく
出張的に診ているらしかった。
「月にせいぜい30人ぐらいだよ」
と、言っていたが、、、
顔が、輝いているように
鈴木には見えた。
現場で診ているせいなのか
その人は、どんどん
上達しているようにみえた。
実際、組んで練習すると
明らかに自分よりは上手だ。
どんなところが?と言うと
「急所(圧痛点、硬結)」を
探し出すスピードが速いのだ。
つまり、「手」がこなれている。
ここで、ちょっと補足しておくと
井本整体には経絡とかツボとか
いった発想はないのです。
その替わりといっちゃなんだけど
急所(圧痛点、硬結)を見つけるのですが、、
、
それらは、筋肉や骨膜の上にある
穴ぼこ、切れ目、引っかかりの中にあるのです。
鈴木も今では、手を置くと
穴ぼこ、切れ目、引っかかりが
すぐにわかります。
と、いうか、今では、
気配(けはい)というか
呼吸というか、気というか
説明するのが難しいのですが、、、
急所(圧痛点、硬結)を
探し出すのは速くなりました。
しかし、その頃は指先が
今ほどは敏感でなかったから
穴ぼこ、切れ目、引っかかりを
探すのが苦手でした。
でも、その方は、実地で患者さんを
診ているせいなのか、
指先が敏感なのです。
要するに、
「手から気が出ている感じ」
相手の体から出る気を
こちらからも気を出して感じる
これを「感応」といいますが、、、
これが全然できていないことが
わかりました。
(これではだめだ、、、
実地でやらないと)
つまり、臨床の現場に出るということです。
その日から、「開業」に向けて
準備を始めたのです。
(続く)
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