「鈴木さん、いきなり何ですか?
モーツァルトが天才じゃないって、、、」
「そうです。
彼こそは小さい時から
一生懸命勉強してきたのです。
そして、たくさん
作曲してきた努力家なのです。」
「そんなの信じられません。」
「それは、、、
映画『アマデウス』の影響によるのです。
あの映画で描かれている事を
事実だと思い込んでいるのです」
こんなシーンがありましたね。
モーツァルトの妻(コンスタンツェ)が
宮廷音楽家のサリエリにモーツァルトの
留守時に作曲した楽譜を見せたシーンです。
「確か、ありましたね。
妻がお金を借りようとした時のことですね。
モーツァルトの浪費癖で
あまりに激しいためです」
サリエリが
「この楽譜を預かっていいですか?」と聞くと
「それは、困ります。
これはオリジナルなので、、、
手元に無いと主人が機嫌を悪くするのです」
「(加筆修正が無い綺麗な楽譜を見て)
これはオリジナルから
清書したものですよね?」
「違います。主人が書いた
オリジナルの楽譜です」
「えっ、訂正も無く、加筆もなく。」
「はいっ」
※
1、サリエリは楽譜を一読しただけで
モーツァルトの才能を見抜く能力があった
2、これだけ完成度の高い楽曲を
モーツァルトは加筆修正せずに書いた
3、頭の中ですでに作品が出来上がっている
楽譜に書くのは頭の中の完成楽譜を書き写すだけ
そして、
サリエリは、自分の才能は、
モーツァルトの才能には
決して及ばないと自覚する。
ついにはその嫉妬心から
「神は不公平だ。教養も無い、
軽薄な青二才のモーツァルトに
才能を与え給うた」と
「神」を恨むようになる
※
映画の中でも、『アマデウス』の
監督はわざとらしく
モーツァルトを軽薄な浮ついた
青二才の青年として描いた。
しかし、昨今のモーツァルト研究によると
モーツァルトは天才などではなく
努力の人だったらしい。
(知らなかった、、、でも、ホントかな?)
・彼の父は、有名な作曲家であり演奏家
・モーツァルトが3歳の頃から、
作曲と演奏の両面で徹底的なトレーニングを施した
・子どもに音楽を教える事に関しては一流だった
・モーツァルト手書きの楽譜にも
父親の加筆修正が入っていた
※モーツァルトデビューと同時に
父親は引退しているという事実
・少年モーツァルトの作風には
独創的作風がない
・16歳の時に発表したピアノ協奏曲は、
バッハのものによく似ている
ただし、21歳の時の『ピアノ協奏曲9番』は
今日(こんにち)最高傑作と誉れ高い作品だが
その時点で18年間厳しく専門的な訓練を
父親から施されている事実を忘れてはならない。
映画で描かれているような
「僕の頭の中ですでに作品はで
きているのです。
僕がすることはただ、
それらを楽譜に書き写すことなのです」
と、いう話は実は事実無根なのです。
モーツァルトの現存している楽譜を見ると
・執拗に書き直している
・何度もやり直している
・一気に作曲できずに
数か月から数年ほったらかしにしている
のだ。
作品が素晴らしいのは確かだが、
彼もまた普通の人が書くように
作曲していたのだ。
(彼もまた努力につぐ努力をしてきたんだね)
追伸
モーツァルト研究家:ニール・ザスラウの
『労働者としてのモーツァルト』によれば
「成人したモーツァルトは
お金のために作品を提供し
金銭の対価のない場合は
めったに作品を書くことはなかった」
(モーツァルトも普通の人間といっしょだね)
また、
ニューヨーカー誌の音楽評論家である
アレックス・ロスは
「よちよち歩きの赤ん坊に
『ベイビーモーツァルト』のビデオ教材を
見せている熱心な両親は、
モーツァルトがモーツァルトになりえたのは
死に物狂いで取り組んだ結果だと
いうことを知ればがっかりするかもしれない」
(天才で生まれてくる人はいない。
努力なんだね)
参考文献:『究極の鍛錬』
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