蝉が1匹
店頭で死んでいた。
仰向けになって
四肢を丸めていた。
眼には力がなかった。
油蝉だろう、、、
生前は「ジージー」と
この辺りで鳴いていたのだろう。
その鳴き声を
鈴木はクーラーで冷やした
快適な道場で聞いていたのだ。
きっと、、、
なんだか申し訳ないような気がした。
脚をつまんで真向かいの
マンションの植え込みに葬った。
できることはそれぐらいしかない。
追伸
人もこの蝉のように丸まって死ぬ。
以前、井本先生は
「背骨の弾力が生命力」と、
おっしゃっていたが、、、
ちょっと背骨を反らしてみた。
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